MUKU-DATA  重要文化財 旧笹川家住宅

今に残る古くからの建物を見る事はとても好きです。
ここ笹川邸も何度か見た建物ですが、また見たくなって行ってきました。
設計をやっている方であればそのダイナミックな空間や庭との関係、そこで受ける感覚など、
大工さんであればやはり梁の組み方や造作、床の間の納まりなど技術的な事など
それぞれに専門分野である事に重点をおきながら全体を見られている事でしょう。

私は材木屋ですので
「材料(木材)とその使われ方」に自然と目がいく訳です。

当時はきっと大工棟梁のセンスで木を設えていったのでしょうから、そこに視点を置く事で
その棟梁を中心とした職人さんたちの事が見えてきたりしますし、材の使い方も現代にも参考になる事が多々あったりします。

入ってすぐの煤けて黒くなった梁や柱は材種はわからないのですが、
説明書によると土間の大きな3本の柱は草槇との事。へぇ~意外。

大きな板戸、框は花梨で内縁は黒檀、杉の一枚板がザラザラしているのですが、「砂ずり」との事。
以前材木屋になりたての頃、現場へ配達に行った際に建具屋さん(白根の)が板戸を取付けていて
全体が凸凹していたので訪ねたら、細かい砂利で摩り付けて磨いた話に驚いたのですが、
砂ずりっていうのもあるのですね。
うづくりとは違って優しい表情の杉が更に柔らかく感じました。
新しい材を痛めて表情を変える、エイジング加工は古く見せようとして加工しますが
通じるものがありますよね。

庇のある広縁の板 多分杉だったかと思うのですが、年輪の冬目が浮き出てきた表情には
趣を感じます。

コメントを残す